山田南平『素直になる方法』(花とゆめプラス)

山田南平/素直になる方法

 去年の8月に発売した花とゆめプラスに『オトナになる方法』の次世代篇(真吾久美子の子供たちの話でした)とでも言うべき外伝漫画が載っていたのですが、真のヒロイン・小沢悦子さんが未登場だったのが大変残念でした。そんな俺ら(って誰?)の思いが通じたのか、満を持して今回、悦子を主人公にしての外伝が描かれました!。いやあ感慨深い、主人公・真吾への実らぬ恋を秘めた(いや全然秘めてはいなかったか)悦子の心の機微は、『久美子&真吾シリーズ』の裏テーマにも見えたし、読者である俺にとって悦子凄い魅力のあるキャラに映っていたんだ、主人公の一人である久美子以上に。この辺り書き出すと長くなるのでまた別の機会にでも(笑)。
 『オトナ…』完結からリアルで8年、劇中時間では……えっと、何処から数えるかに拠るけれど、真吾が大学生に成長していたエピローグは除いて、メインで描かれていた中学時代からは、やはり同じ10年くらいの年月が経っている頃、真吾と久美子の結婚式当日から新たなドラマが幕を上げる。新たなドラマ?、沸き上がってきたかつての想いと痛みと寂しさ。そんな時に横にいたのは、経った年月分成長した、かつての少年。中学生の時には、噛み合わなかったモノが、互いの成長と変化によって今度こそ噛み合うかも知れない。そんな思いを抱かせる、2泊3日のドラマ。うん、こういう新たな始まりが有り得るのならば、中学時代の二人もアリだったと思えてくるなあ。いまパラパラ『オトナ…』9巻をめくって見たけれど、悦子坂田の恋の決着のつけ方が実に上手い。ヘタな作品だと余り者同士でなんとなくでくっ付けちゃう展開も有り勝ちだけれど、そうはしないで、それぞれ個々できちんと消化させてみせたのがよかった。あれがあるからこそ、10年近く経って今回のようなこんなお話があり得るのだろう。
 『まなびや三人吉三』もいいけれど、是非この『素直になる方法』も長編化・連載化して欲しいぞ!。悦子のOLな日常なんかも見てみたいし。しかし、この続きとなると、二人は長距離恋愛って事になるね。けっこう前途多難?。
 いや最初に花とゆめの告知カットで成長した悦子の絵(今号もくじに載ってる絵です)がケバくアダルティに描かれていて見た時はものスゴい不安に駆られたのですが、本編は柔らかい優しいタッチで描かれていて一安心。上に載せた表紙カットと扉絵もちょっとレディースコミック的絵柄で、これまた不安にさせられました(笑)。シルキー辺りに載っていても違和感なさそうだなあ。話も、自棄酒を飲んで、朝になり目が覚めたらホテルのベッドに寝ていて、横にはオトコが……なんてのは、かなりベタベタな女性コミック的展開だし(笑)