浦沢直樹x手塚治虫(長崎尚志プロデュース)『PLUTO 鉄腕アトム「地上最大のロボット」より』「彷徨える魂」(ビッグコミックオリジナル9月20日号17号)

 植物を蘇生させ驚くべき力を見せるプルートゥ、それに驚くウラン。そこにアトムお茶の水博士が駆けつけるが、彼らは同時に警官隊をも招き寄せてしまった………。怨嗟の呟きと2本の角状のプラズマを上げてプルートゥは倒れるが、彼のボディには電子頭脳は組み込まれていなかった。プルートゥと思われていたそのボディは、紛失していた作業用ロボットのありふれた通常生活用のボディだったのだ。……そんな彼らの知らない場所で、”本当のプルートゥ”が目覚め、雄叫びを上げる、アトムを倒すべく………。
 色々と急激に物語が進展し、怒涛の展開を見せてくれたが、逆に言えば前回、前々回のスローペースは何だったんだと(笑)。もう1、2回はウランプルートゥの交流と、探索するボラーで引っ張るんだろうと思っていたので、急展開は結構意外。
 遠隔地にあっても、相手に電子頭脳が載っていなければ意のままに操る事ができるプルートゥの能力。しかも通常生活用のボディで、竜巻や2本角のプラズマまで起こしている。ソフトの能力が、ハードの技量を超えた処まで発揮させていると言う事?。コミック版『機動警察パトレイバー』のHOSみたいだなあ、いや別にパクリとか言うつもりはないけれど、やっている事は近いかという意味で。まあ、何かに似ている云々と言えば、最後2ページの咆哮する”本当のプルートゥ”は、『新世紀エヴァンゲリオン』#19での、暴走するエヴァ初号機に似ている(笑)。
 次回、アトムと”本当のプルートゥ”の対決か!?と思わせる引きだけれど、こういう時は十中八九ハズされるような気がするので、あまり過大な期待をせずに一月待ちましょう(苦笑)。けっこう盛り上げたエピソードの筈なのに読んでいる心が冷めて行くのは、浦沢・長崎コンビに散々スカされた過去の経験の所為か。