朔ユキ蔵『ハクバノ王子サマ』1巻(ビッグスピリッツコミックス)

25歳転職男性教師婚約者有り。そして、32歳独身女性教師。女子高を舞台にした、この二人の秘められた禁断の恋愛模様。とか言うとレディスコミックのアオリのようですが、そこは朔ユキ蔵、そんなに甘くはありません。32歳、自尊心と社会性の分厚い壁を持った原多香子、一筋縄ではいきませんとも。
いや、読んでいて確かにこの作品ってYOUNG YOUFEEL YOUNG辺りの女性漫画誌で、池谷理香子坂井久仁江南Q太宇仁田ゆみなどと並んで掲載されていてもおかしくない内容。前作『つゆダク』がヤリまくり漫画(笑)だった反動もあるのか、1巻までの段階で直接的にヤっちゃった描写なし、まあ未遂はあるけれど。覆い被さってイザこれからって時に寸止めされて追い返される黒沢先生が可愛そうで哀れで…(泣)って黒沢先生妻子持ちだし、別にいいか。
カラオケで唄い、ピッチャーでビールを煽る30代独身教師陣の描写がイタイタしくもリアル。読んでいて切なくなってくるよ……。読んでいるこちらも30代独身だけれど、女性の方が遥かにキツいプレッシャーとストレスがあるのだろうね。けっこう共感もしたりする(苦笑)。
単純に、原先生小津先生がくっ付いて終わる物語とも思えず、今後の展開に期待。
蛇足。登場人物の苗字は、主に”カントク”と俳優から採られている模様。男性教師2名は、映画監督の小津安二郎黒澤明(or黒沢清?)。女性教師陣は、プロ野球監督から(もう辞めてる人から名付けているのは婚期を逃している事への含み?)原多香子先生原辰徳。以下、森祗晶長島茂雄広岡達朗星野仙一関根潤三の各氏から。小津の苗字違いの妹・市川琴美は映画監督の市川崑(or市川準?)から。黒沢先生の奥さん・真美らしき娘の旧姓は三船敏郎から(卒業アルバムにいるもう一人の真美大島渚から)。ちなみにアルバムで三船真美の隣に居るのは森繁(笑)。