あだち充『クロスゲーム』1巻(少年サンデーコミックス)

あだち充/クロスゲーム#01

 第2部を何話か読み進めたところであらためて第1部を読む返すと、色々と感慨深い物があったり、2部で提出されている疑問に気づいたり。
 ある私鉄沿線の街に、バッティングセンターとそこに併設された喫茶店があり、その店の主人には4人の娘がいた。娘たちの幼馴染には、スポーツ用品店の一人息子。4人姉妹の次女若葉と同じ年の同じ日の同じ病院で生まれた、主人公
1部の頃の光は小賢しく立ち回って小遣い稼ぎをしたりして、あまり好感を抱かない人物だとは思っていたが、独りっきりの四女紅葉を遅くまで遊んでやったりイイ奴な面もちゃんと描写してはいる。草野球の負け試合のあと、内心悔しかったのか密かに特訓を始めていて負けず嫌いな面と案外と努力家な処も。それでも、若葉に何故あそこまでベタ惚れされていたのかは大きな疑問ではあるが(笑)。子供のころに限らず、人を好きになるのは明確な理由なんて見え難いモノかもしれないが。
 8話の急流な川の描写で予感させ、9話で判る突然の事故。今回はよく『タッチ』でのそれと比較されるが、実は、あだち充の他の作品でも、死の影が何度も見え隠れしてはいたのだ。
今後、2部以降で、どのような経過でが野球に打ち込むのか、青葉月島姉妹との関係はどうなるのか、想像が膨らむが、とりあえず今は2部のメインタイトルの四葉のクローバーが、一葉欠けているのを見るのが悲しい。