柏木ハルコ『QUOJUZコジューツ』#プロローグ「男なんて!!」(週刊ビッグコミックスピリッツNo.39)

新連載。前作『鬼虫』は、もう1つ好みとズレていたので、あまり気合を入れて読んでいなかったのですが、さて、今回はと言うと。このプロローグを読む限り、どうやら王道、男女同居モノのようです。この手の作品で言うと、古くは、柳沢きみおの『翔んだカップル』から白倉由美セーラー服で一晩中』、山本直樹極めてかもしだ』、赤松健ラブひな』、最近でも、ヤングサンデー連載中の大谷じろう下北GLORY AYS』、先週発売のヤングアニマルでようやく完結した文月晃藍より青し』、先月始まったばかりの井上和郎あいこら』、等々………(少女漫画でも古くから、あだち充陽あたり良好!』、川原由美子前略・ミルクハウス』、成田美名子エイリアン通り』など、幾つもあるけれど論旨がズレて話が大きくなり過ぎるので割愛)。まあ少年誌・青年誌のこの類の話は、男の子側の性的願望充足漫画であり(それが悪いとは言いませんが)、同居している女の子にツンツンされたり、着替えや風呂場、下着姿を見てしまったりとかの、嬉し恥ずかしがあるモノですが、たいていは、偶然見ちゃっただの、触っちゃった、唇が掠った程度の事が延々続いて、読者の期待を引き伸ばす、ヤラずぼったくり作戦で連載を引き伸ばすのが多いワケです(笑)。まあ我らが(?)柏木ハルコは、モチロンそんなヌルい展開にはしませんとも!、きっと!!。
 主人公・村越幹生は、高校を卒業し、何年も会っていなかった父を頼って上京するが、父の住んでいるハズの牧野家に居たのは、それぞれ男に失望した長女・あやめ(25)、次女・かえで(23)、三女・すもも(20)の美人(?)三姉妹だった!!。ベストセラー作家のあやめは、自身の小説の100万部突破記念パーティー(「『せかチュー』の記録を抜いてもらわないと!!」なんて台詞がある辺り流石は小学館(笑))の最中に悪い予感がし、部屋に帰ってみると、彼氏(夫?)は浮気エッチでシックスナインの真っ最中。男は詫びるどころかあやめを平手打ちをし、寝取り女を庇う始末。高校化学教師のかえでは、授業中クラスもまとめられない自分に落ち込みながらも、『ハクバノ王子サマ』の如く、職員室で隣の席の沢田先生に淡い気持ちを抱いていたが、ふとした事から沢田女生徒とヤリまくり、エロ写メを撮りまくる淫行教師である事に気づく。ファミレス(アンナミラーズ?)でバイト中のすももに、別れようとした男が押しかけ逆切れし店内で暴れ出す始末。男運がないのか男を見る目が無いのか判りませんが(笑)、ダメ女の愚痴り合い酒宴の最中にイケメンな幹生が運悪く訪ねてしまったから、さあ大変(苦笑)。こういうハーレム状態?なら、一人ぐらい真っ当な正当ヒロイン系キャラを置いておくのがセオリーのような気もしますが、全員それぞれダメ要素を持つ、生身臭い女(自棄酒の酒盛りで、あやめのブラにパンツのみのダラシナイ格好はともかく、かえではダサいジャージを着ているし、酔って涙どころか鼻水まで流させてるのが凄い)に描いてしまうのが、柏木クオリティ。↑でヌルい展開がどうのと書いたけれど、酔った上とは言え、初回から三姉妹が幹生のパンツを降ろして股間のナニを弄くり倒すと大暴走しているし(苦笑)。もっとも血縁半分?血の繋がった姉弟と言うタブーから、寸止めになる要素を入れているので、今後は(シラフでは)簡単に一線を超えたりはしないでしょうけれど。けれど、敢えてそういった禁断に踏み入るのも柏木クオリティーと言う気はする。今後の行き過ぎた展開に期待。よく見ると扉項アオリに集中連載と書いてあるね、もしかして短期集中連載ってこと??。

追記、『柏木ハルコ短編集』(仮)が10月30日発売決定だそうです。