今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』 (集英社コバルト文庫)

マリア様がみてる薔薇のミルフィーユ

妹オーディションから3ヶ月。順調に新刊が出ていますが、このところ毎回毎回新刊を読む度に思うのは「話が進んでねえ!!」って事ですか。三薔薇均等に収めた作品集って意味ではレイニーブルー以来か、トリが紅薔薇姉妹でちょっと切ない締めになっているのもちょい共通点。↑で「話が進展してない」って言っているのはあくまで紅薔薇姉妹に関してであって、黄薔薇の方は進展しております(そうか?)由乃の妹有馬菜々で確定でしょう、多分。『妹オーディションでは菜々の人となりまでは判らなかったけれど今回で見えてきましたよ、姉を抑制しながらも一緒に突っ走れるキャラなので由乃とはいい姉妹になれるんじゃないでしょうか。ただ実際に姉妹になれるには来年4月以降の事であって、牛歩戦術の如き展開の本編の時間の移ろいを考えると、そこまで描くのにもう何年かかるのかってところですが。由乃1人称の話は疾走感があって好きです。
白薔薇さんちはマッタリ状態。まあ、この姉妹に波風なんてチェリーブロッサムの後は立った事ないですけれど。それでも今回は佐藤聖乃梨子の正式な対面、志摩子の兄(やはりシスコンでした)登場と、いいイベント篇ではありました。最後の志摩子の壊れっぷりがいいなあ(笑)。
紅薔薇は、祐巳さっさと妹を決めろ」「祥子の進路をとっとと訊ねろ」に尽きるのですが。約束をしてから劇中時間で半年以上経ってようやく訪れた「一緒に遊園地」イベントも背中に不安を背負ったような雰囲気が漂っていました。本人達は本気で楽しんでいたようですがアトラクションや乗り物描写の薄さと、そして何より背後にお供の従者を引き連れた状況がそう感じさせたのでしょう、この辺りは意図して演出されていたのだと思いますが。ここまで引っ張ったのなら祥子の進路はもう「リリアン女子大に進学」程度じゃ済まないんでしょうねえ。柏木の言う「僕を倒したって、君は勝てないよ」も気になるところ。可南子の家庭の事情の時のように肩透かしにならなければいいですが。
あ、可南子と言えば、今回分で登場人物紹介から外されていました!。いや短い栄光でしたねえ……(苦笑)。