佐藤多佳子『一瞬の風になれ』(講談社)

佐藤多佳子『一瞬の風になれ』

いやあ、面白かった!。久々に読書をする快感を満喫させてもらって大満足!♪。読んでる間は殆ど何もせずに、作品の疾走感のままに全3巻を1日半ほどで読了しました。青春スポーツ(陸上)小説なのだけれど、読んでいて思ったのは、少年マンガのスポーツ物のテイストだよなあってこと、それも週刊少年サンデー系?。『なぎさMe公認』をベースに『ラフ』や『H2』、『帯をギュッとね!』辺りを混ぜたような?。……て、語彙が貧弱で恐縮ですが(苦笑)。つまり何が言いたいかと言うと、「昔、マンガでこういうのは沢山読んだ気がするなあ」と。そういってよければ内容はスポーツ物の王道だものね。「主人公が高校入学時に、ちょっとしたきっかけである部活に入部し、部内や他校のライバルと揉まれ、女の子に惚れたり、挫折したりしながらも、なんとか成長していく」と言う。
 欠点とか声高に言うほどではないかも知れないけれど、ラストがクライマックスでスパッと切れ味よく終わる反面、エピローグとして、もう一章続きを読ませて欲しい!という不満が残る。「リハビリ後の健ちゃんの復帰はどうなったか?」とか「新二谷口の関係のその後の進展は?」(←ココが一番気になってたり^_^;)、それに、「そもそもインハイを目標として定めていたのだから、もう1盛り上がりを、あの後の全国大会も描くべきなのではないか?」と。
 80年代以降の少年マンガ、それも少年サンデー系ならば決着を作中でつけてくれたであろう、主人公の恋愛の顛末がついていないのならば、ここは是非に、谷口若菜の一人称で語られる姉妹篇的続編を書いていただきたい、と、ここで要望しておきます。『なぎさボーイ』に対する『多恵子ガール』のようにね!…って、例えが古くてアレですが(笑)。