こうの史代『さんさん緑』(漫画アクション8月2日号No.16)

一人暮らしをしていて、ふいに人恋しくなったり、急に寂しさ切なさが込み上げてきたり、そんなある夏の日の話。いや参さんは普段は4人家族で、一人暮らしじゃあないけれど、さ。物思いに耽っているときに、妙齢の女性が尋ねてきてくれて、別れ難く、一人になりたくなくって、つい声をかけ、誘ってしまう。いや誘うとか言うと下心アリとかそんな風に読めるけれど、そういう事ではなくって。
411ページの、1ページ丸ごと使った大コマが、夏の、空、雲、暑さ、空気、風の匂いまで、記憶を喚起させてくれる背景で、とてもいい感じ。やはりこういった大コマの使い方は『こっこさん』や『夕凪の街 桜の国』でも思ったが、この人は本当に上手いなあ。しかし、こんなに手が早くって仙川さんはホントに仕事では有能な人なのだろうか(笑)。また、電車に乗って随分と今度も遠くまで行ったモンだ。それと、なんと言うか、個人的に、夏には友人知人親戚で亡くなった人も多いので、今回のを読み終ったときにしみじみ思い耽ってしまった。
あと、今号には、『長い道』の広告も1ページ掲載されていました。カバーイラストがモノクロで載っていて、この絵もいい雰囲気でした。