『宇宙戦争』 監督スティーブン・スピルバーグ

まあ、いくつか良くない評判が耳に入ってから見に行ったのですが……。いや、全然OK!面白いじゃないですか!!体感ライド・ムービーとしては最高でしょう。いわばコレって怪獣映画だよね?。異変が派生し、謎の巨大メカが出現、街を、人を、次々と焼き払い、蹂躙していく。あくまで目線は港湾作業員、トム・クルーズの視点から離さずに、臨場感を強調。その為に今作品は、大都市を破壊するトライ・ポッド、作戦を練る政府首脳や対策会議の面々、勇ましく出撃する軍隊、などの描写は省かれている。そういうのは他の作品で見ているからもういいじゃない?と言わんばかりに。批判意見のいくつかは判らんでもないけれど、いいじゃん、宇宙人が何を考えているか分からなくとも。所詮別の天体の宇宙人なんだから地球人のロジックで全て理解できるもんでもないでしょう。『インデペンデンス・デイ』の宇宙人みたいに喋り始めた途端に襤褸が出てアホにしか見えなくなる例もあるし。オチに関して不満な人も多いようだけれど、いいんだよ!、『宇宙戦争』のオチってのはH・G・ウェルズの原作からこうだったんだよ!。オチがデウス・ウキス・マキナ的展開になるのは、ある意味スゴいスピルバーグらしいと言えるし、『太陽の帝国』も『ジュラシック・パーク』も『プライベート・ライアン』も、「え!?、これで終わりかい?!」だったし。2重3重にどんでん返しがひっくり返る映画に興味ないのでしょう、スピルバーグは。そこに至るまで贅を尽くして楽しませてくれたらOKであって、みなさん、スピルバーグに何か過大な期待を抱き過ぎじゃあないでしょうか?。

追記・ニュータイプ9月号の「はてしない物語」で、ゆうきまさみが大絶賛していました。そうそう!、やはりこれって、スピルバーグゴジラであり、怪獣映画だよね。まあ、『宇宙戦争』ってタイトルで、そりゃねえだろと思う人の気も今なら分からないでもない(苦笑)。この題名から想像される、空飛ぶ円盤vs米軍戦闘機の攻防戦や、手に汗握る戦術と一進一退の攻防戦とか、そういうのが一切無いものねえ。