原作:オ−バーフロー/漫画:酒月ほまれ『School Days』02巻(角川コミックス・エース)
え〜〜っとさぁ、「少年誌だから」とか「原作ありきのコミカライズだから」とか色々言いたい事はあるのだろうけれど、何かこれって『School Days』的に間違ってないか?? キャラクターを理解し切れていないと言うか、更に言えば桂言葉と西園寺世界がヘンだよ!! 言葉の事を言うと、レザー・ソーを持ち出すのには相応の耐え忍ぶ過程が必要であり、誠と世界がキスしてるのを目撃したくらいでは言葉はヤンデレ化しないんだよ!原作ゲームの「鮮血の結末」ENDと、そこへ至るルートを思い返して欲しい、いや、「鮮血の結末」に落ちる展開にはいくつかの展開があった筈だが、少なくともその1つでは、学園祭で澤永泰介にレイプされ、後夜祭でフォークダンスを踊る誠と世界を目撃し、その後も泰介に肉体関係を強要され、その関係を断ち切って誠との関係を修復しようと動くも、甘露寺七海や加藤乙女ら1年3組・4組女子の妨害工作と執拗なイジメにより立ち行かなくなり、その果てに誠にも拒絶されて、遂にヤンデレ化するのだ。このコミック版じゃあ言葉は、あっという間に刃物を持ち出して切りつける只のキチガイじゃないか! そうじゃないんだよ!!ヤンデレとメンヘラとキチガイは違うんだよ!!言葉は耐えに耐え抜いて、学園生活(=School Days、ですな)唯一の希望である彼氏の誠に拒まれて、そこでようやく壊れるのだ、そこを見誤ってはいけない。このコミック版で言えば、10話目ラストで言葉が誠と世界のキスを目撃したのならば、本当はそこからが言葉の地獄巡りの始まりであり、ここからもう1冊分ほど追い詰められてからでないと、育ちのよい、マジメで良識的な少女の心が壊れて、友人であった少女に切りかかる事に説得力が与えられないではないか。ハナから全2巻の構成であったのなら、1巻目の終わりか2巻目の頭から言葉を追い詰めていく過程を描かなければならなかった筈だ。コミックオリジナルである(だよね?)貝殻のネックレス(溝に落ちたネックレスを一心不乱に探す言葉の描写が秀逸!)や花火大会でのエピソードが上手く描けていただけに、終盤の駆け足による大失敗が実に惜しい。原作ゲーム、TVアニメ版、ノベライズなどで、一番人格者でマトモな人間に描かれてる誠なんかいいのにね。