『わたしはだあれ?』 (ウルトラマンマックス#16)

三池崇史監督登板第2戦
ええ加減にせんかいっ!!!」(笑)
色々物議を醸した先週の『第三番惑星の奇跡』とコロっと変わって一大コメディエピソード。逆に、コメディだと言う先入観を持って見始めたら、導入部の、街の人々が徐々に記憶を忘れていく描写は意外にシリアスで見ていて怖い。冒頭、オープニング前と直後の数分で状況説明、一般社会での異変がどう起こっているかの解説を終わらせる手際のよさは先週と同じ。それでいて、如何にも作り物な九官鳥のアップで「これから展開する話は馬鹿話ですよ」と視聴者への目配せも忘れない。先週がミズキ(とアッコ)のエピソードだったのに対し、今回実はエリーが主役のエピソード。こういったギャグ話と言うのは全員が珍妙な事をやり始めると、常識の基準点が判らなくなって幾らヘンな事をやっても笑えなくなってしまう。その点今回は唯一エリーだけはマトモで通してボケを続けるキャラクター達にツッコミ続けさせたのは大正解。ウルトラマン(特に昭和1期)は、ある種神のような存在、超越者であったが、なるほど、人間ウルトラマンを標榜した平成作以降ならば、ウルトラマンもボケ役になるか(笑)。怪獣出現!いざダッシュ出撃!!の時に一気に面々も記憶を無くしていく脱力描写(笑)。ダッシュバードダッシュマザーも満足に出撃できない体たらく。戦闘機の操縦どころか、主人公であるカイトはマックスへの変身方法すら忘れてしまう。なんとか変身できても、今度はマクシウムカノンなど光線や武器の使用法もすっかり忘れている始末、必死にバカポーズを取り続ける中(「!」とかも)、何気に頭を掻いて海にポチャンとマクシウムソード(所謂アイスラッガー)を落っことしてしまう場面には大笑い。トミオカ長官カレーを食べているのは、初代『ウルトラマンスカイドンの回「空からの贈り物」のパロディ、スプーンを上げると思わせて、カレー皿を上げる仕草に大爆笑!。マックスは戦闘不能ダッシュも酔っ払いの集団のようになって壊滅状態。一匹だけでも難儀な宇宙化け猫が3匹勢揃いした時の絶望感は物凄かった、実はゼットン戦や先週のイフ戦を越えた大ピンチだったかも。3匹の攻撃で負けそうになっているマックスの脳裏に浮かぶのは、遥かな銀河系と光の国?!。しかし、エピローグの作戦室の場面、カイトが異常に不用意な事を言っているし、これって、ダッシュの面々にマックスの正体はバレているよなあ。唯一残念なのは、普段からダッシュの連中は、寝ぼけ眼で出動したり寝坊で遅刻したり作戦室でロックを聴いたり、よく言えば人間味溢れる集団として描写されていて。もっと硬派な引き締まった防衛組織でこの話をやった方がギャップがよりよく表現出来ただろうって事か。最後の九官鳥オチを含めて傑作ナンダコリャ?!エピソードでした。三池監督とスタッフの方々お疲れ様でした。シリーズ中でも輝ける2本になったと思います。ただ、普段、毎回怪獣退治をやっているから今回前回のようなのが効いてくるのであって、ウルトラマンシリーズで毎回コレをやるワケにはイカンよね。ウルトラでここまで大笑いしたのは、『ウルトラマンダイナ川崎郷太監督回うたかたの空夢」以来かなあ。