福井美穂子『平和の風-バスガイド・糸教慶子の挑戦-』後編(BE・LOVE18号)

戦後60年特別企画。時は沖縄海洋博の頃。沖縄上陸戦での悲惨な事実を観光客に伝えようと奮闘したバスガイドさんのドキュメント。この手の終戦企画漫画だと、大抵は戦災に逢った方や出征した方、見送った方が主人公になりがちだけれど(まあ普通はそうなるものだが)、こういった戦争の事を語り残そうとした人を主人公に据えたのは面白い着眼点か。地道な努力が反響を呼び、周囲に認められる、と言う展開は、女性コミックの典型に沿っていて、普段のBE・LOVE読者も違和感無く読めるのではないだろうか。ただ、作中で語られる沖縄戦の事実は、漫画の中で過去の事が語られている構造になっているので、その中身にまで上手く伝わらないようにはなってしまっている。この作品で沖縄戦に興味を持った人が、それぞれに自分自身で過去の文献などに当たっていけばいい事だし、それはいいか。